index <  日誌 < K夫人:目次<  p1 「職場」



〜1 キズナ。

職場は男ばかりで女(オンナ)が一人いるだけである。話題も興味も感じ方も男とかなり違う。感覚(センス)や身のこなし、声も違う。なにから何まで、ちょうど反対側の極(キワミ)にいる。何を考えているのかサッパリわからない。少なくとも僕にはそう感じられる。

異質な存在、異なる未知の世界を生きている。男ばかりなので当然、口数も少なく、対話のキッカケというのがほとんどないのである。いつも一人ぼっちのように見えて来て、そして、それがとっても可愛いらしく思えてくるのである。

後ろ姿が何か透けたように見えてきて、いまにも現実から消えてしまいそうに。影が薄くなって、すがたというのが、何かの影のように見えてきて、それが、僕の届かない未知の世界へと消え去って行ってしまう。まるで幻(マボロシ)のように。夢の中で見るように。

彼女と僕たちとの絆(キズナ)といったものが、知らぬあいだに消えて無くなっていて、気づいたときにはもう手遅れになっている、そう思えてくるのである。何かが欠けている、何かがここで抜け落ちている、忘れ去られている、失われようとしている、なによりも大切なことが。僕たちと彼女とのキズナ(絆)といったものが・・・。


 戻る。                続く。

日誌  <  目次。