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11、信仰。



それは、日本人の無意識の内面の、霧のかなたから浮かんでくる絶対的な意志の強制、いまだ自覚されないでいる絶対的な信仰、心の拠り所といったものである。それが赤という目に見える「色」として表現されているのである。

それは、「絶対」としての、何かの神聖不可侵な境界であり、区切り線であり、標識なのである。それは絶対的な意志の存在を暗示していて、それはつまり、宗教としての信仰以外にあり得ないのである。

ただ日本においてはそれが、意識もされず自覚されることのないまま、思考とか論理としてではなく、ただたんにどこまでも漠然とした空気のような情緒として、情感とか、目に見える「しぐさ」とか立居振舞いや作法、匂いや、あるいはみんなと一緒にいる時のことばのイントネーションなどに、それとなく表現されているのである。まるで「空気」とか、その場その場面の「雰囲気」とでも言うしかないものとなっている。

なにかにふんわりとつつまれた気持ちのあり方のようなものとして、情緒的な雰囲気として日本人を支配しているのである。無意識のうちに、まるで先天的な本能のように人々を支配しているのである。

つまり、それは日本という風土が生み出した、情緒的特性とでもいったものなのである。それが暮らしと考え方、感覚や、さらに社会の根底を支えているのである。

戻る。            続く。

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