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視覚の持つ感覚的特性。感じる波長の範囲や明暗の幅、さらに色彩の豊かさといったものは、たしかに人間と動物とではおおいに異なるものである。そして同じ人間であっても、民族によって、あるいはまた地理的条件や文化的特性によって、多少は異なって来て当然と思えてもくる。 しかしまた、それらは、人間がもつ情緒的特性といったもの、心理的で情感的な指向性、感覚の感受性の方向性という見地からすれば、とるにたらない、どうでもよい、ささいなことのようにも思えてくる。 視覚がもつ生物学的な機能や、その特性、範囲といったものは、それが人間のものになることによって、はじめて、まったく別の意味をもつにいたるのである。これこそがもっとも大事なのであって、人間にとっての本質なのである。すなわち、心理的・情的な 指向性を獲得するにいたった感覚として、そうなのである。 「情緒」という自己の、内面的で精神的なあり方としての感受性を有することになったのである。そして、それはなによりも、肉体という感覚器官自体がもつ、情緒的特性といったもの、肉体の情緒そのものなのである。 |
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