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7、象徴。



それは象徴の世界であって、予感とか暗示、さらに言えば、祈りとか願い、恐れの世界でもある。そして、そうした非現実的なものを感覚が直接に感じながら、人間は生きている。何も見えないところで、それがまるで見えるものとして感じられてくるのである。

現実に見えるものの意味が、まったく別の意味を持った、何か別のものとして見えてくるのである。音もそうだし、手や肌に触れる感触もそうだ。なにもかもがそうなのであって、まるで全く見知らぬ、異次元の世界に迷い込んだ思いがして来るのである。

それは予感とおどろき、とまどい、そして発見と創造の世界でもあって、何もかもが始めのゼロから問い直されなければならないのである。

それは無意識の情緒の世界、意識されざる肉体の記憶の世界なのであって、感覚が意識から独立して、感覚だけで何かを感じ、そして、それを表現しているのである。それは意識でとらえることも、言葉で表現することもできない。もっと、もっと根源的で、直接的な感覚だけの世界だからである。先天的な、意識以前の本能とか衝動の世界だからである。


戻る。             続く。

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