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7、自律性。



だから、そうした情緒や気質の元になっているのは、やはり、ラテン系でも、ロシア系でも、中国系でもなくて、日本にしかないものなのである。そしてそれがまた、日本人の精神の特質となっているものであって、日本人にしかない固有の情緒と生理の自律性なのである。

それは、日本人を特徴づけている感覚や情緒の限界と境界線、そしてその領域なのである。それは日本人の精神のカタチであり、様式とパターンであり、そしてまた、それが指向するところの必然性の方向を示している。それは移行しつつ変化してゆく内的なリズムであり、肉体と精神の統合されたアンサンブルなのである。

そしてこれがまた、自己の内的同一性(アイデンティティー)であり、それが歴史の流れのなかで継続して保存されてきたのである。それは自己の精神 のカタチであり、そしてそれが、現実の世界に現れて表現されたカタチ、外面的で目に見える自己の内的同一性のカタチなのである。法律や文化、習慣、芸術といった目に見えるものがそれである。

しかし、そうした感覚や生活といったものが、どこかで切断されているとすると、それはもはや別のものなのである。自分自身の精神や情緒といったものが自分のものではなくなっているのである。現実と自分というのがどこかで切り離されていて、自分が自分でなくなっているのである。


戻る。            続く。

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