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水色(みずいろ)は遠くに仰(あお)ぎ見るような色である。 あおぎ見る空のかなたの色がそうだし、のぞき込んだときの水の色、氷の色、冬景色の空気の色がそうである。限りなく薄い何かがあいだにあって、それを透かして外の世界を見ている。そんな限りなく透明に近い感じの色である。 それは無意識の世界で、なにかを象徴していて、それを印象し、本能的になにかを感じていて、自分でも気づかないまま、それを衝動として感じているのである。どこかで失われ、忘れられ、そして堆積していった自己の記憶の痕跡を見ているのである。そうした情緒の世界を生きているのである。 だから、それが何かと問われても分かるはずもなく、ただそのままで意識の届かない世界を、それと意識することなく生きているのである。そしてまた、それは、意識出来るものでもなく、その必要もなく、むしろ、意識してはならない世界なのである。感情の起伏や抑揚、衝動や直感のリズム、そうした意識されることのない情緒の世界を、私たちは生きているのである。 |
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