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3、殺戮。


だから、どうあっても、なにがなんでも、そんな世界など、やってられないのである。苦しみと悩みだけなのかも知れないが、それは仕方のないことなのである。出て行くしかなく、そうしてのみ、自分をたしかめ、かみしめ、そして、自分で自分を生きて行くことが出来るのである。

自分は自分のものなのだ。決して、他人に譲り渡すことの出来ないものが自分のなかにあって、それが生きているという意味でもあって、自分にとっての自分の、真実の現実なのである。だから、この現実のなかで生きて行くしかないのである。

自分が現実へ「出る」というのは体験であり、記憶であり、無意識の感覚である。意識以前の感覚の世界なのである。それが自分をして外へでるしかないように仕向けるのである。そうせずにはいられず、そうするしかないようにしているのである。

それは祈りであり、願いであり、のぞみなのである。そうしてのみ、僕は自分自身のなかにある破壊と殺戮から逃れることができたのである。自分自身が分裂し、崩壊の危機にさらされていたのである。だから、出て行くしかなかったのである。

戻る。                     続く。


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