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4、向こう側。


それは、真昼の夢の中で垣間見る、なにかの墓標なのだ。それは掟(おきて)であり、それを越えてはならないという定めであり、標識だったのである。それはぼくにとって、越えてはならない限界線であり、越えることも出来ない境界線だったのである。

しかしまた、それを理解せず見ずして自分自身というのもまた、見えてこないものだったのである。そうやって僕は自分というものを知り、自分自身というものを理解し、自分というものを自覚しているのである。

それはどこかで失われた、かつての自分自身のすがたであり、現実を生きている今の自分の真実のすがたなのである。現実の見える姿(すがた)のすべてを透過して見えてくる、自分自身のタマシイの世界だったのである。


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