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ドナテッロのダビデ、そのB。 
かすむ光。



頭部より下の胸部は、むしろ女性的だ。
光の反射がぼやけている。
ぼやけるのは、
表面がなだらかで、ゆるく湾曲しているからだ。
そして、ぼやけるという散漫する光は、
空気やスポンジのように、
何か柔らかくて緩(ゆる)い、包むような優しい感じがする。
このような無意識の衝動、あるいは観念が、
不思議な憧れと心のやすらぎを抱かせる。

それだけではない。
この淡(あわ)いぼやけた空気。
かすむような光は、
なにかしら、ボンヤリとしてとらえどころの無い、
遠いかなたへと、見る者を誘う。
何かが違う。
意識と現実の区別が無くなって、
自分と相手との見分けがつかなくなる。
限りなく接近して、そして透けてしまった。
肉体から魂だけが抜け出して、
遠いかなたで虚ろに漂っている。
ためらい、そして戸惑っている。



 戻る。                 続く。

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