(  市)ルネサンスへ< 2016-0129-d  四季、



陰と影、そして直射光。


冬の景色はのっぺりしていて、影と陰がはっきりしない。つまり、
ものを照らす太陽の光が弱くて、間接光で見ているのである。
まるで、月夜の世界を極端に明るくしたような世界である。
それは、ものが落とす影がはっきりせず、照らされた表面の
陰(カゲ)が支配する世界である。

影(カゲ)とは、物が、他の物に落とすカゲのことで、そのカゲの中では、
表面の模様も、色も、なにもかも消えている。あるのは、ものの周囲の
輪郭線(境界線)だけであり、その中は何も見えず、何もない。
ただただ同じままで落とされた暗闇の世界である。

そして、それはまた、直射光の世界でもあって、間接光(環境光)では
現れることがなく、直射する直接光によってのみ現れる、カゲの世界で
ある。だから、明暗がはっきりしているのである。
現実と非現実、生と死、明と暗、光と闇の世界が、
はっきりとした境界線でもって区別されている。そして、実はこれこそが、
現実の世界なのである。目覚めと眠りのある世界なのである。

目ざめたままでも、眠ったままでもなく、それらのどちらの世界をも
行ったり来たりしているのである。こうした変化と移ろい、そうした、
切断された自己を通して世界を見ている。そして、こうしたことが、
自分自身にも自覚されるのであって、自分というのが見えてくるし、
理解もされてくるのである。そうした自意識が存在する世界である。
直射光がもたらす、太陽の光が直接に照らし出した、生きた、
ありのままの現実の世界なのである。

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