index <  日誌 < K夫人:目次 67、「みずいろ」



~1 なじめない。

水色(みずいろ)が好きだった。
真っ白なキャンバスの上に、非常に薄い青色が混じった、そんな、まばゆいほどの明るい水色が好きだった。赤でも黄色でも緑でも、みんな明るい色のシロ色が多く混じった、そんな、いまにも溶けて消えていってしまいそうな、そんな、シロ色まじりの薄い色が好きだった。赤ならピンク、黄色でも、緑でも、色が限りなく薄くなって白い背景のなかに溶けてゆくような、そんなシロ色の、非常に薄くて明るい色が好きだった。

でもやはり、青いろの限りなく薄くなった「みずいろ」が一番好きだった。「ピンク色」の優しく包みこみ、抱きしめるような、そんな情緒的な色でもなく、「赤いろ」の情熱的で迫ってくるような、そんな感情的な色でもなく、「黄いろ」の、変に凝り固まって何かに執着するような、そんな色でもなく、あるいは「緑いろ」の、なんとなく落ち着くような、そんな色でもない。非常に明るいシロ色の下地にほんの少し青いろの混じった、そんな「水色(みずいろ)」が好きだった。

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