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8、シロいろ。



そうだとすると、この話の最初に戻って考えてみると、つまり、日本の赤と白で象徴される色の世界。日の丸、紅白まんじゅう、交通標識、運動会の帽子、歌合戦・・・等々。この対照的で象徴的な色の組み合わせが意味するもの。

それは何かを区別し識別する象徴であり、符号・サインである。それは、入ってはならない無意識の領域を明示したものであって、侵すべからざる神々の領域であり、警告標示である。日本人の無意識の世界を支配する戒律なのである。

もしもそうしたもっとも大事なこと、不可侵で神聖かつ絶対的な原理、自らの信仰の根源といったもの、あるいはそのオキテ、戒(いまし)めといったもの、そうしたことを何かの色の組み合わせで表現するとしたら、まさしく、この赤と白がそれに最もふさわしいものに思えてくるのである。

それ以外に無いと思う。例えば、白と黒も考えられるが、黒は闇を連想するし、それは死であってふさわしくない。それに白も黒も本質は同じ色で、ただ明るさの有るか無いかの違いだけであって、本質的な色の違いなどなく、対立と警告の象徴には向いていないのである。また、様々な場面で無差別に使える色でもない。だからやはり、「赤と白」だ。これが最も目立つし分かりやすいのである。

白は、この世のすべての色を含む色である。どこにも、だれにも、何に対してもまんべんなく公平で無差別に照らし出す。そして、それぞれが何色かを見せてくれる。それに反射して映しだしている。そしてそれが何色なのか、ありのままの姿を見せてくれる。そうした「色」が白色なのである。もっとも普遍的で一般的、そして共通の色なのである。

太陽の光と同じで、この同じ色で生命が現実を生きていて、そして生きようとしている、現実の色なのである。色メガネを透さないありのままの直接の色である。それは現実の色であり、人間が生き暮らす現実の世界の色なのである。だから、白という色は必要な色であり、そしてそれはまた、すべてを優しく包み、覆うものでなければならない。始めに白という色がある、そういう色なのである。

戻る。            続く。

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