ルネサンスへ2012-0812-1  市


空気の「めまい」。



「フェルトで作る帽子」雄鷄社、撮影:南雲保夫、Emi Nina


これは「フェルトで作る帽子」という本の中の写真だ。
僕は初めて見たときから忘れられず、めまいがしそうだった。
まるで夢の中を見ている思いだった。
「空気」が画面を支配している。
そしてその光が、非常に特殊な瞬間を捉(トラ)えている。
この空気の色と質が、
僕を夢の世界へ閉じ込めてしまった。

そういうと、この写真を写したカメラマンは、
面喰い、唖然とするかも知れない。
そんなつもりで写した訳ではないだろうから。
それでもそれは、
僕にとってみれば、とっても大事なことで、
ここに、僕の「感じ方」というのが、よく現れている。

他人にとって見れば、どうでもよいことでも、
僕にとって見ると、
限りなく大切なことだってあるのである。
このような傷つきやすく、壊れやすい精神といったものは、
自己の内面の闇の奥にあって、
なかなか、表に出て来ないものなのである。
それが、何かの弾(ハズ)みで、ふっと出てくるのである。
いたたまれない、制御不能な感覚として。

                   続く。



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