ルネサンスへ2014-1009

夢ー5、届かない夢。






しかし、そうした「夢」わかるという僕は、
いったい何なのだろう?
それが、わかるということは、実は、
僕の中で、それが欠けているということなのだ。
僕は自分というのを外の世界から見ていたのだ。
自分の中にある未知の世界だからこそ、それというのが、
とらえどころのない、不思議な情景となって、
心の中でいつまでも突き刺さって、
残っているのである。

というのも、未知のわからないものだからこそ、
自分にないものだからこそ、
それが際立って、よく見えてくるし、
印象にも記憶にも特に残っているのである。
気になって、仕方がないのである。
常識とか思い込みを素通りして、
ストレートに、自分の心の中に入ってくるのである。

そういえば、たしかに僕は、そうでありたいし、
そうであり続けたいし、そしてまた、
それ以前に、そうであったことがなかった。
しかしたとえそうだとしても、
それが現実のものとなった時、はたして、
夢であり続けることができるだろうか。

夢がなくなれば、生きているのは、
きっと、おもしろくないものに思えてくる。そうだ、
初めに紹介した、車の中の男女の情景は、
そうした、夢の中の情景なのである。
永遠で果てしなく、決して届くことのない、
夢の世界なのである。

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